SMAShinsaku Munemoto & ASSOCIATES, ARCHITECTS

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聖ルカ乳児ほいくえん

建築概要
用途 :乳児保育園
所在地 :福井県小浜市
敷地面積:2000㎡
建築面積:743.25㎡
延床面積:684.86㎡
建物高さ:4.94m
規模 :地上1階
主体構造:木造、一部鉄骨造

Photo by 福田駿

 

本計画は、キリスト教の精神に基づいて保育を行っている乳児園である。

3歳児までを対象とする乳児園において、旧園舎からの移行に際し、ただ安全で安心感を与える空間を目指すのではなく、乳児にとって屋外のような魅力と体験を与える空間をどのようにつくりだすかを考えた。

乳幼児にとって視線が抜けていく空間は居心地が悪く落ち着かない為、見通しの悪い道の方が魅力的で居心地がよい。保育士は、担当する園児を見守れる場所に滞在するので、あえて見通しの良くない道をつくることにした。中庭に出会い、保育室内を覗けるようにするなど、廊下が廊下でない、路地のような居場所にすることを心掛けた。大きな一つの空間に可変できるように望まれた保育室をすっぽり包み込む屋根としつつも、この路地に光を落とすようにすることで、どこか礼拝室のようだが家庭的で、子供も大人もくつろげる家のような乳児園を目指した。

 

具体的な計画は、職員の方々とのワークショップで進めた。目的のはっきりしている保育室の大きさを仮決めし、これらの保育室と連結する際に生まれる保育室以外の空間を示すカードを並べながら、両方の空間を等価に扱い、どのように使えるかを議論した。エントランスは、お出迎えやお見送りの場に加え、園長が大切にしている食育の考えを伝える場にする。子育て中の親も子供も食事に関心を持ってもらえるよう、食事をつくり提供する場がそのまま見えるようにした。スタッフルーム前は、保育士さんと関わりを望む子の集まる場、廊下から他の子供の様子を覗けるようにする場、絵本に触れる場、ひなたぼっこしながら中庭を眺める場など、路地を目指す廊下の活動を豊かにするアイデアが次々に生まれた。

屋根は、保育室のサイズに合わせて、大きい屋根と小さい屋根に分けた。屋根のコーナーをRに切り落とし、軽快に見せた特徴的な2枚の屋根の隙間から、北側の安定した光を取り込み、光にあふれる路地にした。

躯体は、子どもの環境づくりに配慮して基本は木造、しかしながら手の届かない箇所には鉄骨トラスを用いるなど、単なるオール木造には拘らず、合理的に解決した。

見通しの悪い道が目まぐるしく体験を変化させ、目指した効果が体感できる。お披露目式では、園長先生により、計画過程や職員さんの使い方の工夫が説明された。共に考え、自分たちの工夫を取り入れた空間だからこそ、子どもたちの様子に合わせて、家具の配置を変更し、柔軟な使い方で問題を解決している。私たちが最初に目指した、簡素でおおらかな光の空間が機能して、ここでの保育は利用者から緩やかに発信されていく。


 

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